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Ginza, Tokyo Japan

【業種別】日本の広告費推移(2005~2014年)

前置き

毎年電通が調査/発表している「日本の広告費」について、前回は「広告種別」に見てみましたが、今回は「業種別」の「マスコミ四媒体」の数字を整理し、簡単なコメントを付けてみました。

 
コメントについては、私が各業界に精通していないこともあり、「何の影響か」といった要因調査は相当骨が折れるということと、そもそも本データにおける「業種」に含まれる企業の変更など、可能性も含めると仮説要因が多数ありそうなため安易なコメントは控え、数値の増減に関するシンプルなコメントに留めています。

 
本エントリーを見て(下部にExcelデータを公開しているのでそちらも併せて)、皆さんご自身のいる業界の動向をチェック頂き、各自専門領域として、増減等に関してご意見を公開頂けますと幸いです。(コメント、ブログ、などなどで)

 

サマリー

✔「16. 金融・保険」が2005年から2009年にかけてガクンと半減。

✔ 2011年に「19. 官公庁・団体」が飛び上がっているのは震災で差し替えになったACのCM「ぽぽぽぽーん」によるもの。

✔ 唯一9年前比も前年比もプラスだった「10. 家庭用品」は、前年に比べ、家庭用計量器、機能性マットレスなどが増加。

✔「14. 情報・通信」は、前年に比べ、衛星放送、携帯電話料金サービス、スマートフォン向けサービスなどが増加。

✔テレビは、「18. 外食・各種サービス」が法律事務所、宅配・引越サービスなどが増加。

✔新聞は、ほとんどの業種が9年前に比べ減少し、「5. 化粧品・トイレタリー」「10. 家庭用品」は9年前比約146%と増加。

✔雑誌は、「6. ファッション・アクセサリー」だけで全体の3割弱を占め、プラス「17. 交通・レジャー」「11. 趣味・スポーツ用品」で全体の半分以上を占めている。

✔ラジオは、「18. 外食・各種サービス」は9年前比約200%と唯一大幅に増加。「9. 自動車・関連品」は約120億円マイナス、「16. 金融・保険」は約100億円マイナス。

 

以下の構成

▼大カテゴリ
– マスコミ四媒体合計
– テレビ(地上波)
– 新聞
– 雑誌
– ラジオ

 
▼各カテゴリ内
– サマリー
– 9年前および前年と比較して増減した業種
– 上位10業種の広告費推移グラフ(2014年実績ベース)
– 上位10業種以外の広告費推移グラフ(2014年実績ベース)
– 構成比推移グラフ
– 実数値一覧(前年比、9年前比、データバー付き)
– コメント

 
というわけで、本編へ。

 

マスコミ四媒体合計

▼サマリー

✔「16. 金融・保険」が2005年から2009年にかけてガクンと半減。(1つ目のグラフ)

✔「11. 趣味・スポーツ用品」がリーマン・ショックの2008年以降、年々減少。(2つ目のグラフ)

✔ 2011年に「19. 官公庁・団体」が飛び上がっているのは震災で差し替えになったACのCM「ぽぽぽぽーん」によるもの。(2つ目のグラフ)

✔ 唯一9年前比も前年比もプラスだった「10. 家庭用品」は、前年に比べ「家庭用計量器、機能性マットレスなどが増加」。(2つ目のグラフ,リリースより)

 
▼「9年前比のマイナス額が500億円以上」かつ「前年比もマイナス」な業種
16. 金融・保険
11. 趣味・スポーツ用品
13. 出版
20. 教育・医療サービス・宗教

 
▼「9年前比がプラス」かつ「前年比もプラス」な業種
10. 家庭用品

 
【マスコミ四媒体】業種別広告費 推移(上位10業種)

【マスコミ四媒体】業種別広告費 推移(上位10業種以外)

【マスコミ四媒体】業種別広告費  構成比推移

マスコミ四媒体合計(実数値)

 
▼コメント
「5. 化粧品・トイレタリー」「2. 食品」といった一般消費者向け商材を扱う業種は安定の1位2位。(急激に半減した金融・保険は置いておき)
「10. 家庭用品」も結構安定してます。
瞬発的なリーチ数(広告に接触する人数)で言ったら、やれSNSだなんだと言われる昨今でもやっぱりまだCMが最強ですからね。

 

テレビ(地上波)

▼サマリー

✔「16. 金融・保険」が9年前に比べ600億円弱マイナス。(1つ目のグラフ)

✔「11. 趣味・スポーツ用品」は同、約340億円マイナス。(2つ目のグラフ)

✔「12. 不動産・住宅設備」はアップダウンあり、2015年の数字に対してだいぶ戻ってきた状況。(2つ目のグラフ)

✔「14. 情報・通信」は、マスコミ四媒体合計についてですが、「前年に比べ、衛星放送、携帯電話料金サービス、スマートフォン向けサービスなどが増加」と。(リリースより&1つ目のグラフ)

✔「18. 外食・各種サービス」は、同「法律事務所、宅配・引越サービスなどが増加」と。

 
▼「9年前比のマイナス額が500億円以上」かつ「前年比もマイナス」な業種
16. 金融・保険
11. 趣味・スポーツ用品

 
▼「9年前比がプラス」かつ「前年比もプラス」な業種
14. 情報・通信
18. 外食・各種サービス
10. 家庭用品

 
【テレビ(地上波)】業種別広告費 推移(上位10業種)

【テレビ(地上波)】業種別広告費 推移(上位10業種以外)

【テレビ(地上波)】業種別広告費  構成比推移

テレビ(実数値)

 
▼コメント
ホントここ2~3年でスマホゲームやLINEやグノシーなど、ネットサービス系のCMが増えてきましたよね。
あと「18. 外食・各種サービス」のところは「借金」「引っ越し」などのキーワードを連想してしまい、景気が反映されているのかなと。
深夜に「借金問題はア●ーレ法律事務所」というCMをよく見た気がします。

 

新聞

▼サマリー

✔9年前比58.4%(-4,323.5億円)となり、マスコミ四媒体の中で最も減少。※広告費改定前の数字。改定後の数字では雑誌が最も減少。

✔「17. 交通・レジャー」が9年前に比べ約650億円マイナス。(1つ目のグラフ)

✔「16. 金融・保険」「9. 自動車・関連品」が2005年から2008年にかけて激減。(2つ目のグラフ)

✔他の業種がほとんど減少しているなか、「2. 食品」が9年前比114.3%(+73.5億円)となり、構成比率が約2倍に。(3つ目のグラフ)

✔「5. 化粧品・トイレタリー」「10. 家庭用品」は9年前比約146%。(実績値一覧)

 
▼「9年前比のマイナス額が300億円以上」かつ「前年比もマイナス」な業種
17. 交通・レジャー
16. 金融・保険
13. 出版
21. 案内・その他
14. 情報・通信
12. 不動産・住宅設備
9. 自動車・関連品
20. 教育・医療サービス・宗教
15. 流通・小売業

 
▼「9年前比がプラス」かつ「前年比もプラス」な業種
2. 食品
10. 家庭用品

 
【新聞】業種別広告費 推移(上位10業種)

【新聞】業種別広告費 推移(上位10業種以外)

【新聞】業種別広告費  構成比推移

新聞(実数値)

 
▼コメント
広告を出す側の視点だと、だいぶインターネットへシフトしたんだろうなと。
消費者視点だと、宅配による定期購読はもちろん、毎日新聞読んでいる人はホント減りましたからね。
家や電車で新聞を読んでいた時間、仕入れていた情報は、スマホに取って代わられ。

 

雑誌

▼サマリー

✔「6. ファッション・アクセサリー」は2007年をピークに2009年までに激減。その後、年々増加。(1つ目のグラフ)

✔「5. 化粧品・トイレタリー」も2007年がピークで、その後、年々減少。(1つ目のグラフ)

✔「6. ファッション・アクセサリー」だけで全体の3割弱を占め、プラス「17. 交通・レジャー」「11. 趣味・スポーツ用品」で全体の半分以上を占めている。(4つ目のグラフ)

 
▼「9年前比のマイナス額が100億円以上」かつ「前年比もマイナス」な業種
14. 情報・通信
16. 金融・保険
20. 教育・医療サービス・宗教
18. 外食・各種サービス

 
▼「9年前比がプラス」かつ「前年比もプラス」な業種
6. ファッション・アクセサリー
7. 精密機器・事務用品

 
【雑誌】業種別広告費 推移(上位10業種)

【雑誌】業種別広告費 推移(上位10業種以外)

【雑誌】業種別広告費  構成比推移

雑誌(実数値)

 
▼コメント
雑誌も新聞同様、インターネットとスマホの台頭によって消費時間と手元を奪われ、年々減少している媒体。
スマホから”手元”を奪取するのは難しいので、マーケティング全体の中で「どういった役割で使うか」ということが重要なのではないかなと。

 

ラジオ

▼サマリー

✔「9. 自動車・関連品」は9年前に比べ約120億円マイナス。(1つ目のグラフ)

✔「16. 金融・保険」は約100億円マイナス。(1つ目のグラフ)

✔「18. 外食・各種サービス」は9年前比約200%と唯一大幅に増加。(1つ目のグラフ)

 
▼「9年前比のマイナス額が50億円以上」かつ「前年比もマイナス」な業種
16. 金融・保険
17. 交通・レジャー

 
▼「9年前比がプラス」かつ「前年比もプラス」な業種
18. 外食・各種サービス

 
【ラジオ】業種別広告費 推移(上位10業種)

【ラジオ】業種別広告費 推移(上位10業種以外)

【ラジオ】業種別広告費  構成比推移

ラジオ(実数値)

 
▼コメント
「18. 外食・各種サービス」には法律事務所や結婚情報が含まれます。
で、私の職場は常にJ-WAVEがかかってますが、確かに法律事務所や結婚関連サービスの広告が多いような気が。
ターゲットが多い、ということなのでしょうかね、ラジオがかかっているシーンに。
急を要するパターンや、今年中には結婚をor結婚式をみたいな人は、その場でスマホかPCで検索してしまいそう。

 

雑感

今回使った数字は「業種別」の「マスコミ四媒体」に関するものですが、これら変化の背景をいろいろと想像しているなかで、改めて、企業のマーケティングにおいて「インターネットとスマートフォンの普及」が与えた影響はとてつもなく大きいなと、感じました。

 
それはつまり「テクノロジーによって生活者の消費行動が変化したから」ということで。

 
もちろん、人口減による市場の縮小、リーマン・ショック、震災、オリンピックやワールドカップのようなイベント、といった要因も大きいと思いますが、どんなシーンにおいても「テクノロジー」は切っても切れない要素なのではないかなと。

 
そして、元ソフトバンク社長室長の三木雄信さんのインタビュー記事を思い出しました。
まだソフトバンクに入る前の話です。

孫社長と会食しているときに「三木君、どうやったら300年間続く会社になれるかね?」と訊ねられました。その頃(1998年当時)から、孫社長は現在のような300年ビジョンを持っていたということですね。その時、話題にしたのは「生物の多様性」ということ。たまたま進化論の本を読んでいて、「昆虫が現在まで生き延びられたのは多様性のおかげだから、企業にもその考え方が必要だ!」などと主張しました。すると孫社長が「そう、三木君、それだよ!」と突然叫んで、「すぐに人事部長を呼べ! 今日から入社だ」と(笑)。それがソフトバンクに入社したキッカケですね。
http://www.sbbit.jp/article/cont1/29186

 
変化に対応できないものは生き残れない。
変化に対応するためには、多様性(ダイバーシティ)が必要、と。

 
たまには自分と全然違う仕事をしている人(特に何かの専門家)や、育った環境や生き方、価値観の違う人と一緒にご飯を食べながら話すというのも良いですよね、と思ってます。

 

備考1:データ元

電通のコーポレートサイト「ニュースリリース一覧」から、毎年実施する「日本の広告費」のリリース記事内にある調査詳細PDFデータ。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/

2014年:http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2015019-0224.pdf
2013年:http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2014014-0220.pdf
2012年:http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2013016-0221.pdf
2011年:http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2012017-0223.pdf
2010年:http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2011019-0223.pdf
2009年:http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2010020-0222.pdf
2008年:http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2009013-0223.pdf
2007年:http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2008008-0220.pdf
2006年:http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2007014-0220.pdf

 

備考2:業種分類基準

業種分類基準

 

備考3:提供データ

エントリー作成用に作ったデータ(エクセルデータ)です。欲しい方はどうぞ。
 
【業種別】日本の広告費Excelデータ(2005~2014年)

 

備考4:関連エントリー

▼2014年版
【グラフ&表】日本の広告費推移(2005~2014年)

▼2013年版
日本の広告費をいろいろグラフ化してみた(2006~2013年)

 

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